証拠保全への対応

医療ミスを理由に患者様が訴訟を起こす場合、原告(患者様)の代理人となる弁護士がまず行う手段として、証拠保全の申立てがあります。医療過誤訴訟ではカルテなどの証拠を医師の側が所有しているので、原告側はまず証拠保全の手続きを行って、カルテや医療記録を入手するケースがあります。
昔は証拠保全を前置する患者側弁護士も多かったですが、近年は、任意の開示を求めることでカルテを取得するケースが多いです。

 

この申立てが受理されると、裁判所から医院に証拠保全決定の書類がきます。それから時間差で裁判官や原告側の弁護士が医院にやってきて、カルテを複写、複製するなどして証拠保全を行います。

 

証拠保全に応じなくても、特に罰則はありません。
しかし、後で訴訟になった場合にはどのみちカルテを提出しなければいけませんので、断るメリットが存在しない一方、証拠保全に応じなかったということでカルテの改ざんが疑われるというデメリットが存在するので、医師にとって良い対応とは、証拠保全に応じるということになります。
よって、訴訟で不利になったら嫌だからと考えて証拠保全を拒否するよりも、開示を求められた文書をしっかり提出する方が、訴訟においても結果的にはマイナスにならずに済むと考えましょう。

 

また、証拠保全をされたからといって、必ずしも訴訟とはなりません。
証拠保全の段階で適切な対応・説明をすることで訴訟を回避することをも可能です。

訴訟で不利にならないためのカルテの書き方

もっとも、証拠保全に協力したとしても、普段のカルテの書き方によっては改ざんを疑われてしまうこともあります。訴訟を起こされた場合に不利にならないよう、普段からしっかりカルテを記載するようにしましょう。

 

具体的な注意点は以下の通りです。
過去の事例であったケースをご紹介します。

カルテを複数作らない

訴訟になった際に、なぜ複数あるのかを疑われてしまいます。
例えば、患者様との間でトラブルになりそうだと考えた医師が、裁判で有利になるようにと何度も手書きでカルテを書き直して、その一部をコピーして患者様に渡したりしてしまうと、どれを渡したか自分でもわからなくなってしまいます。
こうなると、証拠保全をされた時にどうすればいいかわからなくなってしまいますし、改ざんと言われてしまいます。

カルテは鉛筆で書かない、修正液を使わない

鉛筆や修正液を使っていると、たとえ改ざんがなくても改ざんが疑われることになってしまいます。

後から訂正を書き足ししない

これも改ざんが疑われる原因になります。電子カルテの場合も記録が残るので、書き足さない方がよいです。

事実をありのままに書いておく

特に、治療方法について患者様にしっかりと説明したこと、治療方針の選択を患者様自身が行ったことは確実に記載しておくようにしましょう。特別な治療方針を採った場合は、その理由(患者様の希望だった、苦肉の策だったなど)も詳細に記入します。
また、治療の途中で患者様から意見や不満が出てきた場合には、それも記載しておきましょう。治療の時に「これは後で不利になるかも……」と判断しても、それが正しいとは限りません。治療方針が通常と異なるとしても、それが患者様の希望であり、患者様にメリットとデメリットを説明したという記載がしっかりしていれば、治療方針が通常と異なることは不利にはなりません。カルテ記載時に、書きづらいと思ったことでも、しっかりと事実を記載しておく方が、ゆくゆくは訴訟で有利に役に立つことが多いです。

第三者が見てもわかるように書いておく

「カルテは自分がわかればそれでいい」と考えていると、訴訟などのトラブルの際に困ることになります。自分だけでなく、第三者から見ても診療の経過がわかるような記載を心がけましょう。
ある事例では、患者様にカルテを求められた時に字が汚いからと清書して渡したところ、医師に有利な部分を書き漏らしてしまったということがありました。こうなると、有利な記載のある元のカルテを後から提出したら最初に本物のカルテを隠していたことになってしまいますし、だからといって元のカルテを提出しないと、有利な記載がないので裁判で不利になってしまうという状況に陥ります。
また、カルテを雑に書きすぎて、トラブルになった時に読み返そうとしても医師自身も何が書いてあるかわからないということもありました。

 

このように、訴訟やクレームが起きた際のリスクを低減するには、普段からカルテをきちんと書く習慣をつけておくことが一番効果的です。
カルテは医療過誤訴訟における重要な証拠で、カルテに書いてある内容は改ざんが疑われるようなことのない限り事実として認定されます。その重要性を認識して、カルテはしっかり書いておくという意識付けを医院内で徹底しましょう。

 

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