事例1
退職した従業員が、勤務先の病院(依頼者)を相手として、残業代の未払い及び勤務当時の労働条件が法律に反していることを主張、そして、かかる点を労基署に申告したため、相談者が労基署から是正勧告を受け、当方による対応を希望された事案。
結果
残業代について、相手方の請求額を減額させることに成功。労基署の是正勧告に対しても、速やかに労働条件を改善することで早期解決にいたった。
解決のポイント
労働時間を裏付ける資料があまりないということであったが、その他資料も精査したところ、相手方の請求する残業代は相当に高額であることが判明。そのため、その点を指摘することで請求額を減額することができた。労基署との関係では、労基署との面談に当方が立会うことで、労基署の指摘する労働条件の改善点を直ちに反映させることができた。
事例2
勤務医が、勤務先の病院(依頼者)から、解雇を言い渡されたことや給与を減額されたことを主張、突然依頼者に対し、地位の確認や減額分の給与の支払いを求める旨の内容証明を送ってきたために、対応を依頼された案件。
結果
相手方は請求を撤回し、依頼者の元をすぐに退職をすることで事件終了。
解決のポイント
本件の経緯等を丁寧に聴取し、客観的資料と照らし合わせたところ、相手方の主張するような事実が無いことが判明。むしろ相手方に、労務提供の不履行等、労働契約に反する事実が見られたので、その点を指摘、改善を求めたところ、早期に退職し、一切金銭を求めないという合意が成立した。
事例3
医師である依頼者が、就業先である医療法人から過酷な労働を課されていた上、残業手当等も支払われない状況となったため、医療法人に対して退職を申し出たものの、後任が見つからない等の理由により、退職の合意が得られない状態となったため、スムーズな退職と未払い賃金を請求することを希望して当方に依頼された案件。
結果
当方介入により、約1ヶ月で退職の合意が成立し、未払い賃金についても元本相当額を医療法人が支払うことで合意した。
解決のポイント
急ぎ退職したいが、医師として今後も同じ業界で働いていく関係で、円満に退職し、可能な限り未払い賃金も回収したいという希望を叶えることが難しい事案だった。
当方から、依頼者の健康状態等が限界に達していること、継続すると医療法人の業務にも支障がでかねないことなどを客観的な事情を丁寧に伝えつつ、先に退職合意をとりつけ、次に未払い賃金請求を行うという形で、あえて二段階に分けて手続きを進めることで二つの目的を達成した。
事例4
勤務している矯正医と、契約を解消することは合意出来ている。患者様からいただいた矯正費用に応じて勤務医に給与を支給していた。患者様は通常将来の矯正費用も一括で支払われる。矯正医は今後治療をしないので、その分の歩合給与は返して欲しい。
結果
歩合部分について合意し、返還を受ける。
解決のポイント
そもそも、歯科医院と矯正医との契約内容が、法的性質として雇用では無く請負の形式になっていました。
請負の場合、仕事の完成について報酬を払うことになるので、未完成の部分については一部過払になっていること、引き継ぎ後の矯正医の負担を説明し、歩合部分について返還を受けることで合意が出来ました。
その後、矯正医との契約内容が不明確である点を修正しました。
歯科医院の経営者と矯正医さんとの間で紛争になることは多いです。その理由は、患者様から予め一定期間分の矯正費用を前払いしていただくこと、矯正医さんと歯科医院経営者とが歩合契約を結んでいることが多いためです。さらに、矯正医の中には、前払い矯正費用も含めた歩合給与をもらい、途中で勤務先を変えるということを繰り返し行う人もいますので、矯正医さんとの歩合契約については、弁護士に相談して、歯科医院のリスクが少なくなるような契約を文書にしておくことが必要です。
事例5
勤務医の労働態度が悪く、顧客からも不満が出ているので解雇したい。
結果
退職に合意
解決のポイント
弁護士から勤務医に対して退職を勧め、争った場合より勤務医にも有利な条件で退職が出来ると説明することで、退職に合意してもらいました。
確かに勤務医の態度には問題がありましたが、退職させるための手続き及び費用を考えると、円満に合意した方が双方にとって良い事案でした。
ただし、経営者と勤務医とが、直接話すことで感情的な問題が生じる恐れのある関係性になってしまっていたので、第三者として当事務所が入り、退職が双方にとってメリットがあること、退職時の条件や退職後の処遇について話し合いをすることでスムーズに退職に応じてもらえました。勤務医も労働者であることは判例上も明らかであり、労働者を解雇するには、解雇の理由、手続きの両面において厳しい要件が課せられています。よって、解雇を検討した時点で弁護士に相談しましょう。たとえ解雇の要件を満たしていない場合でも、退職勧奨は可能ですし、裁判までして争うことを考えたら、よほどおかしな労働者で無い限り、解雇を前提に条件の話し合いに応じてもらえることが多いです。