近年、インターネットやスマートホンの急速な発展により次々と新しいトラブルが発生しています。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)におけるトラブルもその一つで、SNSが多くの業界にプラスをもたらす反面、使い方を誤ると大きな損失を生み出してしまいます。もちろん、医療業界も例外ではありません。
たとえば、スタッフがSNSなど不特定多数の人が閲覧できるメディアに、医院や患者を特定できるような書き込みをしていると、あっという間に拡散され、「炎上」と呼ばれる非難が殺到し収拾がつかなくなる事態を招きます。
具体的には、医院名で検索をすると「炎上」に関する話題で埋め尽くされたり、医院に対する誹謗中傷や虚偽の事実の書き込みがなされるなど、医院にとって望ましくない情報がインターネット上にたくさん残ってしまうことになります。
一度広まったSNSの書き込みは完全に消去することが難しく、後々まで医院の評判に大きな影響を及ぼすことになります。
SNSへの書き込みを防止するには
では、なぜスタッフはこのような書き込みをしてしまうのでしょうか。
それには二種類の動機があり、防止する方法も異なります。
①医院に対して不満がある
一つは、労働環境や人間関係など、医院に対して不満を抱いているスタッフが、ストレスを発散の発散を目的としたり、他人に知らせたいという欲求で故意に書き込みをしているケースです。
このようなタイプの書き込みを防ぐためには、日頃からスタッフの不満を把握しやすい環境を整えることが大切です。
医院に対して不満を抱いているということは、すなわち改善してほしい点があるということです。したがって、明るく風通しのよい職場をつくることができれば、スタッフに不満や要望をすぐ周囲に相談するという習慣がつくため、ストレスを溜め込み、SNSに書き込むという遠回りな方法を選ぶ必要がなくなります。
ただし、中には独自の正義感を持っていて、SNSに書き込んで世間に知らしめることが正しいことだと考えている人もいます。
SNSへの書き込みを注意した上で、それでも続けるような場合は、適正な手続きに基づいた処分をすることも検討しましょう。
②そもそも悪いことだと思っていない
もう一つは、当事者に「こういう書き込みをしたら医院にとってマイナスになるかもしれない」という思考が根本的に欠けているケースです。故意的な行動とは異なり、厄介なタイプです。
若い世代によく見られることですが、SNSを仲間内だけのコミュニケーションツールと考えており、「インターネットに書き込むと誰に見られるか分からない」「自分の仕事にも影響が出るかもしれない」という認識を持っていない場合があります。
このようなタイプの書き込みを防ぐためには、実際にインターネットで炎上した事例を交えて説明することが効果的です。
たとえば、「仕事や患者様のプライバシーに関わることは書き込まないように」と指導するだけでは、人によってその基準や解釈が異なるため、具体的に何を書いたらどんなことが起こるのかを正しく把握することができません。
炎上してしまうイメージがないからこそ不用意なことを書き込んでしまうのであって、少し手間はかかりますが「こういうことを書くと、こうなって、医院や周囲に迷惑をかける可能性があります」と丁寧に指導してあげることで、SNSやプライバシー情報に対する医院側とスタッフ側のイメージの差異を埋めることができ、スタッフも「職場に迷惑をかけてはいけない」という責任感を持ちやすくなります。
インターネット上の書き込みに困ったら
SNSやネット掲示板、口コミ情報サイトなどに事実と異なる悪評や誹謗中傷を書き込まれてしまった場合には、当事務所へご相談ください。
弁護士を通じ、法的な見地をふまえた削除要請を行うことで、個人では相手にしてもらえない場合でも、プロバイダやサイト管理者に適切な対応を促すことが可能になります。
当事務所では、医院におけるインターネット関連のトラブルを数多く取り扱っております。上記のような書き込みの削除要請にも対応しておりますので、インターネットトラブルでお困りの際は、お気軽にご相談ください。